top of page
執筆者の写真如風

ナイト・アミューズメント

更新日:2020年3月22日

平成31年3月に国土交通省観光庁観光資源課なる日本の観光政策の要となる組織から「ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集」なる非常に興味深いレポートが発表されました。

このレポートが一国の観光行政の中核を担う組織によって敢えてこの時期に公表され、しかもその内容の正当性を39ページにわたり延々と書き綴り、ナイトタイムエコノミーの重要性、将来性、必要性に言及してサービスプロバイダー(乃至はその卵たち)そして一般市民にまで訴えかけたことに違和感を感じます。

まずは、「ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集」の冒頭部分を見てみましょう。

(著者抜粋)

ナレッジ集のねらい ■作成の背景 政府では現在、観光を成長戦略の柱、地方創生の切り札と位置づけ、国内外の旅行者の地域への誘客、交流人口の拡大に向けた取組を進めています。 「ナイトタイムエコノミー」は、文化・経済の両面でまちを活性化させ、今後の経済を支える重要なテーマです。ナイトタイムに行われる様々な活動から、未来の文化が生まれてゆき、そのまちの顔となる文化へと発展することにより、国内外の人々を魅了し、引きつける大きな可能性があります。 夜間を含めて文化の幅が広がれば、訪日外国人含めた訪問客の滞在時間も増え、消費拡大が実現します。夜間に営業する事業者にとっては、既存の資産を活用し、「夜間」という新たな時間市場を開拓することで事業を拡大する機会であるといえます。 コンテンツの拡充、交通アクセスの整備、安心安全な環境づくり等に官民連携によって多面的に取組、夜間を含めたまちの魅力を向上させ、我が国の新たな文化的魅力を世界に向けて発信していくことを期待します。

(著者抜粋完了)

さて、如何でしょう????

先ず、レポートの表題に使われたナレッジとは? 恐らく観光行政の監督官庁トップマネージメントが ”上から目線” で日本語の「知識」を単純に英語の「Knowledge」に置き換えたら、彼ら(彼女ら)の基準でたまらなく ”格好良い”、”少しイカした” 表現になったので使用したのでしょうが はっきり言って、最悪!せめて、「ナイトタイムエコノミーに関する提言」程度にしておいてくれたら私もスルー出来たのですが、「Knowledge - 知識」と書かれたことで一挙に琴線を震わせてしまうことになりました。そこで、スルーすることなく、39ページにじっくり目を通してみることにしたのです。

単純に申し上げて、「ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集」(どれだけ読んでみても、ナレッジ集の文字を見るたびに赤面してしまいます。)の主張は、18:00から翌日の06:00までの時間の経済活動の重要性です。

この論拠は、観光先進国のアメリカのニューヨーク、イギリスのロンドン、(一部オーストラリアや韓国も含まれていますが・・・)の実例をもとに我が国でも 夜間のアミューズメントを充実することで更なるインバウンドの呼び込みに拍車がかかり訪日観光旅行者のツーリズム関連消費が増えるという期待です。

しかし、国土交通省乃至は観光庁以外のツーリズム関連組織や旅行関連コンサルタントの調査によると、訪日旅行を計画中の外国人が旅行中に目的とする体験、来日中の訪日外国人旅行者が旅行中に体験したいアクティビティを調査した結果は以下の通りです。

1. 日本食を食べること

2.ショッピング

3.自然や景勝地の観光

4.繁華街の街歩き

​5.温泉

​以上を見る限り少なくとも、訪日(予定を含む)外国人旅行者が日本への旅行で期待するコンテンツのベスト5に夜のアミューズメントなるものはリストアップされていません。事実この数年 ヨーロッパ、アメリカ、オセアニア、アジア各国から日本を訪れた私の個人的な友人達も そのほとんど全てが、和食・買い物・観光地巡り・渋谷~秋葉原の街歩き・箱根の温泉を堪能しましたが 誰一人としてナイトアミューズメントに不満を口にしたことはありません。

駅前高等温泉-別府

​と言うことで、次の章では、このナレッジ集について私のオピニオンを述べさせていただきます。

閲覧数:13回0件のコメント

最新記事

すべて表示

新型コロナウィルス感染再拡大と補助金不正受給の実態

2019年11月に中国武漢で初の新型コロナウィルス感染症の症例が報告されて以来およそ2年が経ちその間世界はあらゆる手段を講じて感染拡大を抑え込む努力をしてきました。 しかし残念ながら、2022年1月7日現在世界の新型コロナウィルス感染者数の累計は遂に3億人を突破してさらに日...

新型コロナウィルス感染拡大とGo To トラベル・キャンペーン

師走を迎え何かと慌ただしい季節になりました。例年であれば各地の師走の行事が報じられクリスマスから新年にかけての気分が盛り上がるはずなのですが、今年はそのような盛り上がりはなく新型コロナウィルス関連の報道ばかりが報じられる殺伐とした年の瀬になっています。最新(2020年12月...

留言


bottom of page