• 如風

COVID-19と国内観光地(信楽・伊賀)

最終更新: 5月18日

(信楽)

今回 初めて訪れた信楽は、NHKの朝の連続ドラマ「スカーレット」の舞台として一躍脚光を浴びる陶芸の里で、滋賀県南部甲賀(こうか)市の町です。新名神高速道路の信楽インターチェンジから南へ数キロ、JR草津線貴生川駅から信楽高原鉄道で 24~25分と交通の便に恵まれ全国から来町する観光客は増加の一途をたどっているそうです。


信楽高原鉄道-吊革に忍者

今でこそ、「スカーレット」のロケ地でその名が知れ渡った信楽ですが 1200年前に中国から持ち帰ったお茶が初めて国内で栽培されたのが信楽の朝宮地区と言われ、朝宮茶は全国五大銘茶として有名です。また聖武天皇の天平14年(742年)国家安寧を願って大仏建立を行うためこの地に紫香楽宮が遷都造営された由緒正しい土地でもあります。そして何と言っても「八相縁起」と呼ばれる狸の焼き物が代表的な信楽焼は、日本六古窯とされています。

この町の印象を一言で表せば「狸の焼き物!」。駅のホームにずらりと並んで乗降客を迎える大、中、小、数多くの狸から、駅前に聳え立つ高さ5.3mの巨大狸、駅前から国道に続く道の両側の陶器店の庭先に整列した様々な狸、一般の民家の玄関先に“お約束の狸”と、一日にこれだけ多くの狸の焼き物にお目にかかることは日本広しと言えども信楽しかありません。

信楽駅 狸のお出迎え

​今回は、2月中旬の平日 しかもCOVID-19の感染拡大が大きく報道される最中というタイミングでしたので、観光客の姿は皆無でしたし、数少ない飲食店の多くが休業しており何とも侘しい限りでした。

4時間ほど信楽の街歩きをして信楽の町が非常に落ち着いて尚、自然体であることに感動しました。テレビの効果もあって町を訪れる観光客数は増加していることは容易に想像できますが、観光客目当ての小綺麗な雑貨屋、気取ったカフェ、大型駐車場を備えた団体旅行御用達の「信楽○○お土産センター」的なものが無く、地元の人々の生活を支える個人商店が点在する地方都市ならではの普段着の日常と郊外の丘陵地帯に古くからある多くの窯元が程よいバランスで小さな町を構成しています。

これからも、落ち着きのある町の姿を崩すことなく訪れる観光客に生活のリズムを乱されることなく 保守的な観光行政を保ちつつ近隣の玉桂寺や紫香楽宮跡など未開拓な観光素材を ”点~to~面+質” プロモーションで開発していただきたいと思います。

(上野 - 伊賀)

時系列上、上野 - 伊賀を訪れたのは信楽の一週間ほど前になります。津市から伊勢自動車道、(無料の自動車専用道路)名阪国道を通っておよそ1時間の行程です。途中の道路案内図で、信楽まで距離的にとても近いことが分かったため後日改めて信楽までの鉄道の旅を計画した訳です。

上野 - 伊賀についてオピニオンを書く前に是非コメントしておきたかったのが、前述の(無料の自動車専用道路)名阪国道です。名阪国道は、三重県亀山と奈良県天理を結ぶ幹線国道で名古屋方面から奈良に向かうにはこの名阪国道を通るか、新名神高速道路~京滋バイパス~京奈和自動車道を通るかのいずれかになります。距離的に新名神~京奈和ですと名阪国道のおよそ三割増しでしかも全線高速道路料金がかかりますので自ずから貨物輸送は名阪国道に集中することになります。

その為 多くの商業車が名阪国道を走ること自体当然ですし実走行距離も約30%短いとなれば一般車両のドライバーも好んでこのルートを選択することでしょう。しかし、この道は余りにも道が汚い。道路の舗装が滅茶苦茶に荒れていて法定速度で走っても車が飛び跳ねるほど至る所穴だらけ、継ぎ接ぎだらけでまともに走ることができませんでした。

これを教訓に今後、名古屋方面から奈良方面、和歌山方面に行く際には新名神高速道路を選ぶことになると思います。

さて、前置きが長くなりましたが 上野 - 伊賀のフィールドワークです。ここでは誤解を避ける為に上野 - 伊賀、乃至は伊賀と表現することにします、と言うのもJR関西本線に伊賀上野駅があります、一方で観光で訪れるにあたっては見所が伊賀上野駅の南約3kmの伊賀線・上野市駅周辺に集まっているからです。伊賀線は、JR伊賀上野駅と近鉄伊賀神戸駅間 16.6km 15駅を南北に結ぶ全線単線の鉄道です。今回は、この伊賀線・上野市駅を起点に中世日本史を学びながらの伊賀街歩きです。

町内の各所に街歩きイラストマップが置いてあるので初めて訪れる観光客にとって便利なうえ、町内を“面”で案内することで観光客の回遊性にも役立っていると感じました。

駅を出て北へおよそ200m、目と鼻の先に上野公園があります。広い園内には筒井定次が築き、藤堂高虎が後を継いだ伊賀上野城(白鳳城)を中心に伊賀流忍者博物館、芭蕉翁記念館、伊賀伝統継承館・伊賀くみひも組匠の里などの施設があります。

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既に中国政府が自国民の団体旅行を禁止していましたが、伊賀上野城天守閣にも 伊賀忍者博物館にも多くの中国人観光客の姿がありました、恐らく状況が悪化する前の1月下旬に中国を立ち春節期間を日本各地で過ごす予定の団体・個人旅行客でしょう。中国人に交じってフランス語、英語、タイ語など様々な言葉の観光客が忍者ショー(忍者博物館で一日に4~5回実施、追加料金500円也)を楽しんでいました。

過去の経験から伊賀流忍者博物館にはあまり期待していなかったのですが、良い意味で期待を裏切られる結果になりました。博物館内では、数人毎にまとまった来場者が伊賀忍者の歴史、実態をかなり出来の良いDVDで事前に詳しく知ることできて、その後忍者装束の若い案内人が忍者屋敷の内部を一部屋ずつ案内して隠し扉や地下に掘られた避難路、屋根裏に作られた覗き窓など珍しい仕掛けを細かく説明してくれます。

今回のフィールドワークで訪れた各地の中で伊賀で最も多くの訪日観光客に出会いましたが、これは伊賀が飛びぬけて訪日観光客を集客しているとことではなくタイミング的にCOVID-19の影響の初期段階であったため、その後の新型肺炎の感染拡大による観光地のゼロ観光客との相対比較でしかないと言うことをその後の三週間で思い知ることになったのです。

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