• 如風

COVID-19の陰に隠れた国際政治

2020年の上半期は、新型コロナウィルスの世界的な蔓延によって本来であれば致命的であるはずの為政者によるあらゆる政治的なミステイクが見過ごされ(時には正当化され)ているように感じます。

為政者による政治的ミステイクは過去にも、直近にも数多く起こっています。ナチスドイツのヒトラー、カンボジアのポル・ポト、チェコスロバキアのチャウセスク、リビアのカダフィ、数え上げれば枚挙の暇がないほどですが、これらは結果として国民の怒り、国際的な(敗戦を含む)制裁を受けて粛清された歴史を持っています。

政治が常に多面性を持つことで成り立っていることは衆人の認めるところです、即ち民主主義国家・自由主義国家においては人民の政治参加によって異なる政治志向を持つパーティーが存在することを許し、これをもって相互監視を通して為政者の独走を抑制することが可能なのです。一方地球上に未だいくつか存在する独裁主義国家においては、国民が政治に対する意見を述べることは許されず、民意が政治に影響することはあり得ないのでそもそも「政治」という概念が存在しないと考えられます。


先週ロシアでは国民にとって非常に喜ばしい憲法改正の国民投票が実施された陰で、改正項目の一つに現職のウラジミール・プーチン大統領の任期延長(最長で2036年)に民意を問う項目が含まれていたこと、更にはこの投票には〝すべての項目に賛成か・すべての項目に反対か〟の二択しかなく、全項目のうちの一部に対しての反対を表明することが出来ないように仕組まれていたことに巨大な悪意を感じます。投票は賛成78%をもって無事に完了しました。

国際政治は、その時々のあらゆるファクターが複雑に絡み合った結果の「解」であり、ある特定の事象が生み出すものではありません。今回のロシアにおける憲法改正の全国投票も、新型コロナウィルス禍に加えて、ロシア経済の根幹をなす国際原油価格の下落、中東地域の内戦、米中間・米欧ロ間の政治的軋轢、政権内部の保守層の強大化などがその裏で作用していたことは否めません。

部外者の我々からすると、「現職の大統領が憲法改正の旗印の下、大衆向けの迎合政策の裏で自身の在職任期を延長することなど言語道断、独裁主義だ」と見えるのですが、投票率65%中78%の賛成票が投じられたことを見る限り、ロシア国民の多くがプーチン大統領の統治能力を認め、保守的な体制の維持と外交政策を望んでいるということの表れであるということなのでしょう。今更ロシアが民主的な国家で、自由な民意の下で国家統治がなされているかを問うても意味のないことですが、少なくとも多くの国民が不満は抱えつつも現行体制の維持を望んでいることに、日本の内閣支持率並びに安倍晋三内閣総理大臣の支持率を重ねてしまうのは強ち間違った見方ではないような気がします。


眼をアジアに向けると、中国の全人代常務委員会(即ちが、習近平国家主席)は6月30日に中国政府による香港の統制強化を目的とした「香港国家安全維持法」案を可決しました。1997年香港が英国から中国に返還された際には1997年から50年間香港に高度な自治権を認めた「一国二制度」は僅か23年にして、中国の独裁的国家主席の判断で世界中が見守る中で崩壊したのです。

表面的には、「一国二制度」の錦の御旗の下で北京の考え方に反発を強める香港を抑え込もうとする意図があることは衆人の認めるところですが、その裏には「50年間高度な自治権を認める前提は常に全人代の政治志向を尊重する限り」とする習近平国家主席の強い中央集権的な思想があるものと考えられます。更に「一国二制度」を蹂躙する起爆剤となったのが2019年の英国のEU離脱(BREXIT)です。BREXITが「体制は時の流れとともに変わりゆくもの」と言う前例を作ったため、50年を待たずとも「一国二制度」体制を変えることを正当化させてしまいその結果、中国は香港の旧宗主国である英国とともに21世紀の世界政治を転換させる役割を担ったとの演出を可能にしてしまったのです。

中国政府は、この度の「香港国家安全維持法」に対する諸外国からの批判に対して、一貫して内政干渉であるとの姿勢を貫き、国内においては情報統制により政治批判を封じ込めながら各国の新型コロナウィルス感染拡大をじっと見守っているのです。



次に、否 本来であれば真っ先に書き記されるべき近代国際政治最大の汚点、アメリカ合衆国第45代大統領ドナルド・トランプの姿を見てみましょう。ロシア疑惑、対中国経済対策、自国優先主義、白人至上主義等々賛否両論が渦巻くかつて例を見ない奇想天外な国家主席である反面、非常に優秀なアジテーターであり商売人であると考えます。トランプ大統領の所業が新聞、テレビで話題に出ない日はほぼありませんので、其の一々につてコメントしていては、切りがありません、ここではその全体像を俯瞰してみることにします。

結論めいた書き方になるのは承知の上で、ドナルド・トランプとは何者で、何がしたいのかを考えた時、「いかなる手段を使ってでも2020年11月に再選を目論む現職アメリカ合衆国大統領である。」としか表現の仕方がありません。それ以外に政治理念、経済政策、外交戦略には一切興味はなく、世界の平和、秩序、融和、環境、協調など知りたくもないと言ったところでしょう。

恐れ多くも、一国のしかも世界の中の超大国の一つアメリカ合衆国の大統領である限りどれ程無能であってもそれを補佐する有能な補佐役が常にその醜態を隠し、時に詭弁を弄して正当化し、忖度することで地位を保つことが出来ています。その反面、彼が優秀な商売人であることがアメリカの巨大企業の経営者にとって唯一の存在価値になっていることは間違いありません。

企業経営者にとって、自社の何千人、何万人の営業マンよりもドナルド・トランプ氏一人の方がはるかに有能で価値あるセールスマンに映るのはトランプ大統領が我が国の安倍晋三内閣総理大臣と日米首脳会談をする際に顕著に見ることが出来ます。

安倍氏は内政面では数々の失策を重ねている上、自身と身内の身から出た錆をひた隠しに隠しつつ、唯一の手柄を外交に向けようと必死に努力しています。その安倍氏にとって最も頼りがいのある相手こそがトランプ大統領なのです。そのため、機会あるごとに日米首脳会談の可能性を模索し 日本人にとって重要な対北朝鮮政策、日米安全保障政策、日米貿易交渉を議題に会談を待ち望んでいるのですが、それこそがトランプ大統領にとっては「飛んで火にいる夏の虫」「葱をたっぷり背負った鴨」のお誘いなのです。

北朝鮮も安全保障も興味どころか知識もないですが、自らも決して嫌いではないゴルフに安倍氏を誘うことで、いかにも胸襟を開いた友人同士を演出しつつ、世界最高のセールスマンは、どれだけの軍用品を売りつけるか、どれほどの額の農産物を買わせるか、どこまで輸出関税を下げさせるかをグリーン上で虎視眈々と狙っているのです。

残念ながら、安倍氏はゴルフプレーの単語程度は理解できるものの政治・経済の専門用語が飛び交う交渉の場での英語は理解できません、しかし トランプ大統領にとってはそこが重要なところで、頭脳明晰な官僚が居ない場でゴルフで仲良く遊んでいるふりをして、貿易交渉を持ち掛けホールアウトまでに、「何時」「幾ら」のコミットメントを追及して安倍氏にプレッシャーをかけ続けます。

ネイティブのイングリッシュスピーキング・ビジネスマンとビジネス・ディスカッションをする場で英語がよく理解できない日本人ビジネスマンがよくやらかす失敗が、判らないのににやにやへらへら愛想笑いをして、Yeah,Yeah,Yes,Yesと返事をしてしまい、後になって収拾のつかないスパイラルに落ち込んでしまう典型です。

出来ないのであれば毅然とした態度で、No、と意思表示すべきところ、愛想笑いでYeahを言ってしまっては、相手にとっては、コミットメントを取り付けた、と理解されても仕方がありません。グリーン上の非公式日米安全保障交渉の結果、F35を105機 付帯する装備品と合わせて231億ドルの買い物が決まってしまったとすれば、しかもこれらすべての買い物は日本人が税金で払わされたと考えると腹が立つのを通り越して情けなくさえなってしまいます。


これこそがアメリカの巨大企業の経営者がトランプ大統領を支持する唯一の理由だとしたら・・・・日米安保と聞かされていた軍用装備品が実はゴルフ場のグリーン上で、愛想笑いと理解できない英語にYeah!とやってしまった結果だとしたら・・・


さて、話をドナルド・トランプアメリカ合衆国大統領に戻しましょう。彼は、大統領に就任後凡そ8割の側近、上級職員を解任・罷免したそうです。即ち、就任当初に自分を補佐して的確なアドバイスをしてくれていたまともな人材の80%を、無能なイエスマンに挿げ替えてしまったのです。大統領の暴走を止める補佐役が消えた結果、次のような愚かな決定が為されました。

2019年2月1日、ドナルド・トランプ大統領は中距離核戦力全廃条約の廃棄をロシア政府に通告、翌2日からの義務履行停止も同時に表明しました。これを受けて、ロシアも同条約の定める義務履行を2日に停止し、条約は2019年8月2日に失効しました。


2019年11月4日、ドナルド・トランプ大統領は地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を国連に正式に通告した。前政権が推し進めてきた化石燃料分野の規制を緩和するとともに、原油パイプライン建設計画を推進して、エネルギー分野の雇用創設、輸出促進を重視する姿勢に転換しました。


2020年5月29日、ドナルド・トランプ大統領は世界保健機関(WHO)との関係を断絶すると表明しました。7月6日には、国連に対して正式に通告しましたので 仮に、来年2月にトランプ氏が第46代アメリカ合衆国大統領に就任すれば、2021年7月6日にはアメリカがWHOから脱退することになります。


このようにロシア、中国、アメリカの3大国家の現国家主席3名を並べてみた時、更には北朝鮮、ブラジル、中東諸国、日本をも加えて見ると果たしてこの現象は21世紀の偶然なのだろうか、必然なのだろうかと考えさせられてしまいます。

そしてこれらのリーダー達の所業がいま世界中で蔓延し続けている新型コロナウイルスの陰に隠れていとも簡単に見過ごされていることに恐怖すら感じてしまいます。せめて、我が日本においてだけでも安倍晋三内閣総理大臣が、自らが行政司法を抱き込んで闇に葬り去ろうとしている森友・加計問題について国民が納得できる説明責任を果たし、更に自らの政党の勢力拡大と子飼いの部下の身内の選挙運動のために莫大な国民の血税をつぎ込んで挙句の果てにその税金が贈賄の原資になった事の経緯を正直に語って国民の審判を問うことで、日本が真っ当な法治国家、民主主義国家であることを世界に誇ってもらいたいものです。


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