• 如風

Go To トラベル・キャンペーンがフル稼働 (2)

最終更新: 10月17日

さて、前章 「Go To トラベル・キャンペーンがフル稼働(1)」では、宿泊予約の際の注意点と地域共通クーポンの問題点を指摘してまいりましたが、本章では旅行業者が販売するパッケージツアー商品の内容について少し検証してみたいと思います。

9月末の専門家会議での提言を受けて政府は、10月1日出発分から東京を目的地とする旅行、並びに東京都民の旅行を Go To トラベル・キャンペーン(GTTC)の割引対象とすることを決定しました。新型コロナウィルスの今後の感染拡大次第でキャンペーンの方向が修正される可能性を担保した上で、経済活動をより強く牽引したい政府、過去二か月間の不公平感をできる限り早期に払拭したい東京都、更に東京都民の旅行によりV字回復を願う観光地それぞれの思惑が10月1日をもって一致した形となったわけです。


この決定を待ち望んでいた国内の旅行会社各社は、一斉に東京を目的地とした旅行商品、東京都民を含めた全国に向けた国内旅行商品の販売を開始、連日新聞に広告掲載が始まりました。

旅行商品の新聞広告による大量送客は永年日本人の旅行を後押ししてきた一方、高額な広告費用、過当競争による旅行費用の下落により旅行会社の収益率は悪化の一途をたどり、結果として弱肉強食の自由競争下 中小の旅行会社が新聞広告募集(所謂、メディア募集)のマーケットから淘汰され2020年1月時点では、最大手の阪急交通社、JTB,クラブツーリズムなど一握りの旅行会社の寡占状態を作り上げてしまいました。


募集型(主催)包括旅行と呼ばれるパッケージツアーは、基本的に(着地型旅行を除いて)出発地から目的地往復・周遊の交通費、宿泊費、食事代、アクティビティーなどを含んだ包括的な経費を一括したものを旅行費用として旅行会社が販売するものです。その為、各々のファクター(交通費・宿泊費。食費)のブレークダウンを購入者が知ることはありません。

これは、自動車を購入する消費者が各部品の価格のブレークダウンを知ることなく、一台の自動車を製品として購入するのと同じことです。

又、パッケージツアーを販売する旅行会社は監督官庁である国土交通省、乃至は観光庁、各都道府県の厳しい条件をクリアした上で旅行業登録認可を取得していれば、個々の旅行商品の価格設定に対する規制はありません。即ち、同じ日に出発して、同じ交通機関・同じ宿泊施設の同等クラスの客室を利用して、同じ内容の食事を提供する旅行でも、主催する旅行会社によって、19,800円であれ、52,000円であれ販売価格について国土交通省や観光庁の制約を受けることはありません。即ち、旅行原価が18,000円のパッケージツアーを19,800円で販売すれば、旅行会社の儲けは1,800円ですが、極端に52,000円で販売できたとすれば儲けは、34,000円なるわけです。


そこまでを理解した上で、過去一週間の新聞広告・折り込み広告に掲載された大手旅行会社の国内パッケージツアーの旅行代金を検証してみましょう。


神奈川県の各地を08:00頃に出発して、17:00~18:20頃に戻る横須賀、鎌倉を周遊する日帰り旅行です。貸し切りバスを使用して募集人数も通常の半数 約15人に絞り込んだパッケージですが、各地自由散策で昼食を除いてはバス代以外にコストがかからないスケルトンタイプの旅行です。

旅行費用は、12,990円から14,490円、GTTCの給付金を引くと支払額は8,990円~9,990円になります。(*)公表されている GTTCの割引金額の詳細は別として この旅行費用12,990円、14,490円は昨年同時期の旅行費用と比較して本当に安いのでしょうか? 率直に言って、かなり割高という感は否めません。極端に言って、GTTCでの割引後の支払い額 8,990円~9,990円辺りが昨年の同種スケルトンタイプの関東近郊の日帰りバスツアーの旅行費用の値ごろ感ではないでしょうか。

少なくとも、アクティビティーが一切含まれない、昼食のみが含まれた実走行距離120km程度の日帰りバス旅行に、14,490円の値がつくとは考え辛いと思います。一見4,500円の旅行費用の割引額と地域共通クーポンの2,000円、計6,500円のベネフィットが目くらましとなって支払額、9,990円を如何にもお得感のあるものに見せる数字のマジックがここに垣間見えてしまいます。しかも、GTTCでの割引分4,500円は後日そっくり主催旅行会社に払い戻されるのです。

* 因みに私の計算では、14,490円の旅行費用に対する GoTo トラベル・キャンペーンの割引額は、(14,490円の50%の70%)5,071.5円、支払額は、9,418.5円、地域共通クーポンが2,000円分となるはずです。


今回の Go To トラベル・キャンペーンでは、個人が自己手配で交通機関+宿泊を予約した場合は交通機関部分に対する割引・補助はありません。その為、交通機関+宿泊費+アクティビティーを含む包括旅行費用全体が割引対象となる旅行会社が販売するパッケージツアーの優位性が強調されますが、一つ一つのツアーの内容を十分に吟味した上で、短略的にパッケージツアーに飛びつくのではなく、ひと手間を掛けることで国内旅行を通して国内のホスピタリティ業界を助け、より質の高いサービス産業の成長に寄与することでコロナ後の新しい時代の礎を築くことがいま改めて我々に求められているのではないでしょうか。

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